こうはんせきちゅうかんきょうさくしょう

広範脊柱管狭窄症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

広範脊柱管狭窄症とは、首から腰の背骨によって構成される脊柱管が全体的に狭くなることで生じる病気を指します。脊柱管には神経が通っているため、この病気では神経の圧迫症状が見られます。

広範脊柱管狭窄症は、日本においては難病指定を受けた病気の一つです。これによると、5,000人以上の方がこの病気にかかっており、特に60歳代以降の男性に見られる傾向があると報告されています(2018年11月時点)。

治療は主に保存療法や手術療法が選択されます。神経症状が強くなりすぎると、手術を行っても回復が期待しにくいこともあります。そのため、適切なタイミングで最適な治療方法を受けることが、とても大切であるとえます。

原因

広範脊柱管狭窄症は、神経の通り道である脊柱管が狭くなり、脊髄や馬尾(ばび)が圧迫されることによって発症します。背骨は、内部に穴があいている頚椎や胸椎、腰椎などの椎骨が、縦に積み木状に重なることで形成されています。これによってできあがる一本の長い空間が脊柱管です。この中には神経の束である脊髄が走行しており、手足の動きや感覚、自律神経などの情報伝達を行っています。

この病気では、脊柱管が狭くなることで神経が圧迫されてしまい、運動麻痺や感覚障害、排泄障害などの症状が起こります。また、広範囲に渡って脊柱管が狭くなる原因は完全には明らかにされていませんが、生まれつきの要素に加え、経年的で物理的な負担や、加齢現象の一環である可能性が指摘されています。

症状

広範脊柱管狭窄症では、首から腰にかけてさまざまな部位で神経圧迫を起こし、その部位に応じた症状が生じます。たとえば、手の運動を司る部位に圧迫が生じた場合は、手を動かしにくくなるなどの症状がみられます。感覚を司る部位の場合は、しびれや痛みなどの症状がみられます。その他、排尿や排泄機能に支障が生じることもあります。この場合には、尿が出しにくい、排便をしにくいなどの症状につながることがあります。

このように、広範脊柱管狭窄症ではさまざまな神経症状が見られる可能性があります。その結果、日常生活を送る上で多大なるストレスを感じ、生活の質が大きく影響される危険性があります。特に、転倒などをきっかけとして、急激に神経症状が悪化することもあります。

検査・診断

広範脊柱管狭窄症では、どのような神経症状が出現しているかを、詳細に評価することが重要です。脊柱管が狭くなっていること、神経が圧迫されている状況を画像的に評価することも重要であり、単純レントゲン写真やCT検査、MRI検査、ミエログラフィーなどの画像検査が必要に応じて計画されます。

広範脊柱管狭窄症を診断するためには、画像で見られる圧迫状況と、患者さんが抱える症状に矛盾が無いかどうかを確認し、最終診断に至ります。

治療

広範脊柱管狭窄症では、しびれや痛みに対応するために、ビタミン製剤や痛み止め、プレガバリン、血流改善を目的とした薬剤などが使用されます。痛みが強い場合には、神経ブロックも検討されます。また、局所の安静を目的として、コルセットなどの装具を使用することもあります。

これら保存的な治療方法が奏功しない場合、神経症状の増悪が強く懸念される場合などにおいては、手術的な治療介入も検討されます。あまりにも神経麻痺が強くなってしまうと、手術を行っても症状が改善しない場合もあるため、適切なタイミングで手術を行うことが必要です。また、広範脊柱管狭窄症では悪い部位が一箇所ではなく複数あるため、どこがもっとも悪いのかを診断することが困難なことも多く、複数箇所が障害されている場合は、回復しづらいことがあります。

転倒や軽度の外力などをきっかけとして、神経症状が急激に悪化することもあります。そのため、日常生活においては怪我をしないよう、細心の注意を払うことも大切です。障害の程度に応じて生活環境を整備することも重要であり、具体的には、杖の使用、つまずきにくいよう段差をなくす、バリアフリーの環境を整えることなども考慮されます。

この病気は難病指定を受けたものの一つです。重症度に応じて、さまざまな公的サポートを得ることが可能です。こうしたサポートも考慮して、医療機関からの意見を求めることも大切です。

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